著者はアンデシュ・ハンセン。2020年11月20日発行。
心に響いた言葉
まえがき
- 睡眠・運動・他者との関わりが、精神的不調から身を守る3つの重要な要素。
- SNSの目的は、できるだけたくさんの時間を奪うこと。SNSに費やす1分1分が、企業にとって黄金の価値を持つ。広告が売れるから。
第1章 人類はスマホなしで歴史を作ってきた
第2章 ストレス・恐怖・うつには役目がある
- 現代には命に関わる危険はほとんどない。心理社会的なストレスがあると脳内で同じシステムが作動する。
仕事の締め切り、高額な住宅ローン、いいねがあまりつかない。 - 強いストレスにさらされると、周囲に気を配る余裕がなくなる。堪忍袋の緒も切れやすくなる。些細なことで強い苛立ちを感じるようになる。なんで靴下が床に転がっているんだなど。
- 強いストレスにさらされ続けると精神状態が悪くなる。
- 心が満ち足りていると、人は警戒を解く。脅威を前にした脳にとって、警戒を解くことは優先順位の最下位。
- 偏桃体は記憶や感情、他社の感情を解釈するときに大きな役割がある。
- 体は食べ物の消化や睡眠、機嫌よりも闘争か逃走かを優先させる。
- 危険や争いを避け、感染症にかからず、食料不足の世界で餓死しないことが大切だった。
- 身体のストレスシステムが危険な世界で私たちを守るために進化していった。
第3章 スマホは私たちの最新のドラッグである
- いいねが1個ついたかも、見てみようは、ポーカーをもう1ゲームだけ、次こそ勝てるはずと同じこと
- 極めてテクノロジーに精通している人は、その魅力が度を過ぎていることを認識し、制限した方がいいと考えている。
- スマホ依存は自尊心が低いが競争心が強く、自分を強いストレスにさらしている人たち
- IT企業のトップは子供にスマホを与えない。
- ビルゲイツは子供が14歳になるまでスマホを持たせなかった。
第4章 集中力こそ現代社会の貴重品
- 脳には切り替え時間が必要。集中する先を切り替えた後、再び元の作業に100%集中できるまで何分も時間がかかる。
- スマホはサイレントモードにしてポケットにしまうくらいでは集中力が抑えられない。
自分のではないスマホをモニターの横に置き、触ってはいけないというだけでも集中力を奪っていた。 - ポケットの中のスマホを、脳は無意識レベルで感知し、スマホを無視することに知能の処理能力を使っている。本来の集中力が発揮できなくなる。
- スマホの魔力に抗うために脳が全力を尽くしていると、他の作業をするための容量が減る。
- 気を散らされる存在が当たり前になると、それが存在しないときでも強い欲求を感じるようになる。
現在社会では集中力が貴重品になってしまった。 - スマホやパソコンがそばにあるだけで学習能力が落ちる。
- ペンはキーボードより強し。パソコンより手書きでノートを取る利点。
手書きはいったん情報を処理する必要があり、内容を吸収しやすくなる。 - 目の前にスマホを置いていると、相手との会話がつまらなくなる。
スマホを手に取りたいという衝動に抵抗するため、限りある集中力が使われる。
無視するとは能動的な行為のため、あまり会話についていけなくなる。
第5章 スクリーンがメンタルヘルスや睡眠に与える影響
- スマホが及ぼす最大の影響は、時間を奪うこと。うつから身を守るための運動、人付き合い、睡眠をとる時間がなくなることかもしれない。
- ブルーライトにはメラトニンを抑える働きがある。メラトニンが抑えられると、体はまだ昼間だと勘違いする。ブルーライトで元気になってしまう。ブルーライトで体内時計が2,3時間戻される。
- スマホが寝室にあるだけで睡眠時間が21分~1時間短くなる。テレビが寝室にあると睡眠時間は短くなるが、スマホはさらに短くなる。
第6章 SNS 現代最強のインフルエンサー
- 人生の数年がフェイスブックに吸い取られる。20歳から80歳までの間、SNSに5年間、そのうちフェイスブックが3年間近く時間を吸い取られる。
- 現実に人と会う人は幸福感が増し、フェイスブックに時間を使うほど幸福感は減った。
皆がどれほど幸せかという情報を大量に浴びて、自分は損していると感じるから。 - フェイスブックに投稿して、つい多くを語りすぎたと後悔した経験を持つ。
誰かがいると自分の行動を制限できる。フェイスブックでは他人の表情などのフィードバックや自己検閲は機能しない。 - うつには2種類ある。職場や人間関係などの長期ストレスに起因するものと、社会的地位を失ったことに起因すること。
- SNSを社交生活をさらに引き立てる手段、友人・知人と連絡を保つための手段として利用している人たちは良い影響を受ける。
- 自己評価が低く、自信がない人は、SNSのせいで精神状態が悪くなるリスクを抱えている。
- スマホやSNSはできるだけ人間を依存させよう巧妙に開発されている。
- SNSがストレスを与え、嫉妬させ、フェイクニュースを拡散させているので、フェイスブックをする時間を減らすのは良い考えだ。
第7章 バカになっていく子供たち
- 額の奥にある前頭葉は衝動に歯止めをかけ、報酬を先延ばしにできるが、完全に成熟するのは25歳~30歳になるまで時間がかかる。10代のころはまだ成長していない。
- 若者の方が依存症になるリスクが高い。
- マシュマロをすぐに1個もらうより、2個もらうために15分待てる4歳児は基本的に、数十年後に学歴が高くいい仕事についている。
- スマホ追放で成績アップ
- 今の子供は即座に手に入るご褒美になれているから、すぐ上達できないとやめてしまう。
- 毎日3000回近くスマホをスワイプし、夜になっても興奮が収まらない、ストレスフルな生活が眠れなくなる原因の可能性がある。
第8章 運動というスマートな対抗薬
- 身体を動かすことが健康になる。すべての知的能力が運動によって機能を向上させる。集中できるようになる。記憶力が高まり、ストレスにも強くなる。
- 現代の貴重品である集中力に、運動は良い効果をもたらす。5分や6分など少しの運動でも効果がある。
- きつい運動をした方が緩い運動をするよりも不安が軽減して、運動直後だけでなく24時間続く。
心拍数があがる運動をすることで最大の効果が得られる。 - 身体のコンディションが良い人の方がストレス源にうまく対処できる。
身体を動かす方がストレスや不安に強くなる。 - 身体を動かすとストレスへの耐性がつくし、現代では貴重品になった集中力を与えてくれる。
- 週に2時間運動すれば、頭の回転が速くなる。
心拍数は上げないより上げた方がよい。速歩で歩くだけでも効果がある。
第9章 脳はスマホに適応するのか?
- 人間に残される仕事は集中力を要するもの。だが集中力はデジタル社会によって奪われている。
- 元気になるコツは、睡眠を優先し、体を良く動かし、社会的な関係を作り、適度なストレスに自分をさらし、スマホの使用を制限すること。
- デジタルの道具を賢く使わなければ、スマホというテクノロジーが人間を2.0バージョンではなく、0.5バージョンに退化してしまう。
第10章 おわりに
- スマホでなくてもいい機能は、スマホを使わないようにしよう。
目覚まし時計と腕時計を買おう。カメラを買おう。手帳を買おう。 - プッシュ通知をすべてオフにしよう。
- スマホの表示をモノクロに。
- 運転中はサイレントモードに。
- 集中力が必要な作業をするときはスマホを手元に置かず、隣の部屋に置いておこう。
- 人と会っている時、スマホを取り出せば、周りにも伝染する。
- よい手本になろう。相手を真似ることで学ぶ。子供は大人がしているようにする。
- 寝るときはスマホやタブレットの電源を切ろう。
- スマホを寝室に置かない。
- どんな運動も脳によい。いちばんいいのは心拍数を上げる運動。
集中力を高めたければ週に3回45分、できれば息が切れて汗もかくまで運動するといい。 - SNSは積極的に交流したいと思う人だけフォローしよう。
- スマホからSNSをアンインストールして、パソコンでだけ使おう。