著者は山田スーニー。2001年11月29日第1刷発行。
心に響いた言葉
プロローグ 考えないという傷
- 考えないということは、不自由なこと。
- 自分の頭でものを考えるための具体的な方法。
- 他人事ではなく、まさに自分の問題としてあなたが切実に受け止めるのはどんなことですか。あなたの肚の中から発する言葉で延べなさい。
- 何を書くことが求められているか?を自分で正しく深くつかむこと。
- 大問題にいきなり結論を出すのではなく、問いを探すこと。
具体的な小さな問をいくつも作って自分にインタビューすること。 - 自分の意思を書き表すことによって、人の心を動かし、望む状況を切り開いていける。自由を味わってほしい。
第1章 機能する文章を目指す
- 作文や小説は、起承転結の転で見せる鮮やかな飛躍が面白いと評価される。小論文は問題提起、原因分析、解決の要件・・・のような論理的思考を積み上げることが基本。
- 48歳の女性が、40歳を上限にしている企業に採用された。
⇒通常の履歴書のほかに、自分の長所を売り込んだ文章を添えた。 - 最初の文章の書き方は、国語の作文。そこで求められたのは豊かな表現力だった。
- 文章のゴール、最終的に誰に読まれるか、どうなることを目指すのかに着目すると、いろいろなことが見えてくる。
- 入試小論文のゴールは合格すること。結果が出せた文章、つまり合格した答案を多数読んで、水準や要件を割り出すことがいい文章の条件。ゴールと生徒の現状のギャップを考えて適切にサポートすればよい。
- 就職の論文や志望理由書の場合、ゴールは採用。
- 病気の人へのお見舞いの手紙のゴールは、相手の回復力を引き出すこと。
- まずはゴールを明確にすること。ゴールから逆算して必要なことを、必要なレベルまでやればよい。
- 自分のミスで先方を怒らせたときに書く文章は、信頼回復が機能する文章。
- 自分の書いたもので、読み手の心を動かし、状況を切り開き、望む結果を出すことがゴール。
- プロローグの17歳。作者の問いかけが彼女の内部で波紋を広げた。振動が大きくなり、彼女の潜在力を彼女自身が揺さぶり起こした。
- 書くことによって、自分の潜在力を生かし、読み手を共鳴させる。読み手の共感・納得・発見などの心の動きが生まれれば、読み手の内部の大きな振動になって、読み手自身の潜在力を揺さぶり起こす。そういう形の人に伝わる、人を揺さぶる文章を目指す。
- 機能する文章=7つの要件
①意見
②望む結果
③論点
④読み手
⑤自分の立場
⑥論拠
⑦根本思想 - 実際に文章を書く上で基本の3要素
①論点
②論拠
③意見 - 自分が言いたいことをはっきりさせる。その根拠を示して、読み手の納得・共感を得る文章。
第2章 7つの要件の思考法
- なんとなく生きるということは、自分の中にあるものと向き合わないこと。
- 考えることを通して自分の内面を顕在化できないとき、人は静かに傷ついていく。
- 文章を書くことは自分が納得いくまで自由にものを考えていいということ。
- 意見とは自分が考えてきた問いに対して自分が出した答え
- いい意見を出す人は問いも深い
- 自分で小さな問いを立て、自分で答えを出す。数を出していけば、徐々に慣れて、いい問いが立つ。
- 意見(答え)を出すために思いつく限りの問いを洗い出す。優先順位の高いものを選ぶ。問いに考えがはっきりするまで自問自答を繰り返す。
- 問いの例
①何が問題か?
②原因は?
③何が障害か?
④誰が鍵を握っているか?
⑤どうしたらできるか?
⑥似た事例はないか? - 問いに行き詰まったらエリアを広げる。
過去、現在、未来
自分、身の回り、日本社会、世界 - その文章は何のために書くかを意識する。
- セルフチェック
①自分は今何を書いているのか?書こうとしているのか?
②だから何なのか?それを読み手にとってどんな意味があるのか?
③読み手にどうなってもらいたいか?そのためにどう書けばいいか? - 自分の書いた文章を時々突き放して読み、機能をチェックしていく。
- 自分が書いた文章を読み終えた時、読み手にどういってもらいたいか?その言葉で結果をイメージする。
- 論点を制するものは文章を制する。
- 論点と意見は、問いと答え。
- 論点と意見の2つのことに注意する
①書いた文章の論点と意見が呼応しているかを確認する。
②問いを意識しつつ文章を書く - 論点は文章を貫く問題意識。はっきりした疑問文で書くクセをつける。
- 論点の集め方
①読み手を洗う
②テーマを洗う ⇒ 環境保護のテーマならネット検索、新聞記事検索する
③自分の中を洗い出す - 読み手を洗う方法
①1回目は全体を一気に通して読む。
②じっくり読む。
相手の主張が一番強くでているところ(意見)
相手は何を根拠にしているか(根拠)
相手の問題意識はどこに向かっているか(論点)
相手が繰り返し言っている言葉(キーワード) - 論点を絞る
いくつかの疑問文を書き出してみる。 - 論点を決める
最終的に上がった疑問文の中から1つを選ぶ。 - 書くものが関係性の中でどう作用するかを外側から見る目を養う
①相手について理解を深める
②相手から見た自分の立場を知ること
③相手と自分の関係を発見すること - 相手を理解するための問い
①相手にわかるか?
②相手が興味を持てる内容か?
③相手はこれを読む意味やメリットは?
④相手はどんな人か?
⑤相手は今、どんな状況か?
⑥これを読んで相手はどんな気持ちになるか? - 自分と相手が物別れになったときに、この壁を乗り越えるのに必要なものは論拠。
自分と相手の真ん中に論拠がある。 - 論拠を用意するには・・・
①自分の理由を挙げる
②相手の都合から見た理由を想定する
③相手側の反対理由を正しく抑える - 論拠の用意・入門編のポイント
①自分側の理由を洗い出す
②相手側のメリットを上げる
③相手の反対理由を抑える
④相手の反対理由に焦点を合わせて説得材料を集める
⑤相手にわかるように筋道立てて論拠を提示する - 説得の視野を広げるためには、問題を多角的に見る
①自分の体験・見分を洗い出す
②必要な基礎知識を調べる
③具体的事例を見る
④別の立場から見る
⑤海外と比較してみる
⑥歴史を抑える
⑦スペシャリストの視点を見る - 根本思想を変えないかぎり、話題を変えても、読み手の印象を変えることはできない。
- 根本思想は文章の製造の源。
- 自分の根本にある想いが知りたいなら、書いたものを極力短く要約してみよう。
- 極端に短く言うことで、いらないものを捨てる。大事なものの順番がわかる。
第3章 伝わる・揺さぶる!文章の書き方
- メールを出す前にチェックすること
①相手はこれを読んでどう思うか?
②一番言いたいことは何か?
③的確な論点が立てられているか? - 否定を提案にする。結果をイメージする。それを阻む問題点が見えてくる。そこに突破口がある。
- 論点⇒論拠⇒意見の順番に書く。
- 人は自分を理解してくれ、評価してくれる人に信頼を寄せ、その人の話に素直に耳を傾ける。
信頼の絆ができていれば、意見は通しやすくなる。 - 依頼文の構成
挨拶⇒自己紹介⇒志(何を目指しているか?)⇒依頼内容⇒依頼理由⇒条件⇒返事を伺う方法・締めの言葉など - 相手・組織・顧客などの関係の中で、自分は何者かという立場を発見する。
- 議事録というよりランダムな発言録。議事録をとっても読み返してくれない。役だった形跡がない。
⇒ 議事録のポイントは議題を問いの形にして頭に大きくはっきり書く - 議事録は論点(問い)を明確にすると書きやすい。
- いい発言をおもむろに書き付けるだけなら、議事録は時間の無駄。発想を変える。
⇒ 発言の裏にある問い(論点)に注目してメモを取る。 - 中心論点を抽出し、問いの形に治すのは、難しい。頭が鍛えられる。
- 問いと答えの間に何を大事にしたか?優先順位の高いものを3つ程度書けばいい。
- 議事録に1つ前(前回までの流れ)と1つ後(次回の予定)の展開をかいておくと役立つ。
- 志望理由を書くときに、なぜその大学か?は大きすぎる問い。細かい問いを積み上げる。
過去⇒現在⇒未来。自分⇒日本社会⇒世界。時間と空間を移動させる。 - リーダーの仕事は決めること決めて、謝るとこ謝る
- 自分の書いた文章について、段落ごとに機能を考えてみる
謝罪⇒相手側から見る⇒罪を積極的に認める⇒原因究明する⇒対策を立てる⇒償いをする⇒再度謝罪 - お詫びの要件は、反省・謝罪・償い。
- 相手の悪いところも遠回しで書いたら、もとの3倍くらい怒られた。
- お詫び状のテンプレート
謝る⇒相手側から見るイメージ⇒罪を積極的に認めるステージ⇒原因を究明するステージ⇒将来に向けた修正を示す⇒どう償うかを示す - メールの原則はわかること。
- メールをわかりやすくする秘訣は、根本思想にある。
自分で考えられるところまで考える
決められるところまで決める
結果について引き受けようとする姿勢
第4章 より効果を出す!テクニック
- 2歩前提に引いてみること
1歩引くのは、自分の文章は人が見たらおかしくないか?
2歩目は、当たり前と思っていることをわからない人がいるのでは? - 1つ前のプロセスを共有する
今年の話なら去年、来期の戦略なら今期の戦略、意見なら問題点 - 教えるシーンでは、教える側と教わる側が、最初にゴールを共有するのがよい。
2時間の研修で・・・1か月後、3か月後、1年後・・・どうなっているかを目指すなど。 - 読む気を引き出す文章の書き方
長い文章の末尾に結果を出すのではなく、書き出しに結果を書く。どうやって読みたいという気持ちを引き出すかが重要。
読み手にプラスの動機を引き出すことが重要。
①効能を示す。読むとこういうシーンに役立つ。読むとこういう知識や技術が身につくなど。
②相手にとって切実・身近な話題とリンクさせる。
③タイムリーな話題とリンクさせる
④面白そうな独特な世界を醸す。 - 若い女子がかわいいを連発する。かわいいと言った瞬間、自分の揺らぎを停止して、思考停止している。
- 素晴らしい使用禁止令。素晴らしいに逃げる。素晴らしいを使えないと、どこに魅力があるか、なぜ魅力があるか、どういう言葉で表現するか考える。
このトレーニングで飛躍的に語彙が増える。 - 自分の思考停止ポイントを発見する問い。思考の動脈硬化に気づくヒント。
①自分の信頼している人のいうことをそのまま言っていないか?
②自分が優れていて他人が劣るときは?
③最近、人に何かを強く勧めたか?
④会議や会話で自分が連発する言葉は?
⑤自分の発言の中で絶対をつけるものは何か?
⑥自分のモットとは何か?