著者は足立武志。2022年8月1日 初版発行。
心に響いた言葉
はじめに
- 投資には経営分析の基本を身につけておくことが重要
序章 決算書はなにのためにある?
- 決算書は会社の成績表
- 財務三表
損益計算書:1年間の収益や費用
貸借対照表:会社の資産や負債、純資産
キャッシュフロー計算書:1年間のお金の収支 - 決算書は税務署に提出する義務がある。
- 有価証券報告書は決算日から3か月以内に提出。
- 企業の負担軽減のため将来的には四半期報告書は廃止。四半期決算短信に一本化。
第1章 損益計算書とは?
- 会社がきちんと儲けているか確認できる。
- 損益計算書 = profit and loss statement
借金と返済:収益と費用に含まれない。
為替差益:輸出入で海外取引が多いと為替相場の影響を受ける。 - 売上総利益:商品サービスの実力を知る。
営業利益:人件費の比率・健全性
経常利益:借入金利息を引いた真の現況
税引き前当期純利益:天災等の影響
当期純利益:最終利益。会社の本当の利益。 - 借金がなくて、投資に消極的、海外と取引がない場合、営業利益と経常利益の差はほとんどない。
- 製造業は工場の従業員の人件費は原価になる。
本社や販売・広告・総務・経理などの管理の人件費は販管費になる。
人件費といえば販管費にならない場合がある。 - 2022年4月4日から東京証券取引所が、プライム市場・スタンダード市場・グロース市場に再編された。
第2章 貸借対照表とは?
- 貸借対照表は左側の資産は運用方法、右側の負債と純資産はお金の調達方法。
- 棚卸資産は多すぎてもダメだし、少なすぎても機会損失するのでダメ。
- 無形固定資産ののれん代:事業譲渡を受けたりした場合、営業権が無形固定資産として計上される。
- 営業権はのれん代。会社のノウハウや信用などを集約したもの。
第3章 キャッシュフロー計算書とは?
- 営業CF・投資CF・財務CFの合計がマイナスなら、会社からお金が減ったことになる。
- 現金および現金同等物の期末残高が、3つのCFと前年度の残高の足し算になる。
貸借対照表の現金と預金にほぼ一致する。 - 営業CFがマイナスなら本来の事業でお金を得ていない。
- 投資CFは設備投資したらお金が出ていくのでマイナス。売り渡したらプラス。
投資CFがプラスになる場合、理由を確認する必要あり。 - 投資用の株を売却してプラスなら、その年に限っては問題なし。
- フリーCFは営業CFと投資CFの足し算。
- 財務CFがマイナスだと借金返済。プラスだと積極的な設備投資ができる。
第4章 経営分析指標
- ROA:総資産利益率=当期純利益/総資産 x 100
Return on Asset
ROAが高いほど、少ない資本で効率よく利益を獲得している。
ROAは5%を超えると収益力があるとみなされる。
総資産は貸借対照表の資産の全部。 - ROE:自己資本当期純利益 = 当期純利益/自己資本 x 100
Return on Equity
株主が出したお金が有効活用されているか?
新株予約権を差し引いた自己資本 = 貸借対照表の右下の純資産
目安としては10%以上。自己資本が少ないと異常に高くなる。 - ROAは会社の総合的な力がわかる。
ROEは株主の投資に対するリターンが見えやすい。 - 総資本回転率 = 売上高/総資本
同業他社と比べて判断するとよい。 - 売上高経常利益率:本業に加えた投資財務活動まで含めた会社の総合的な収益力がわかる。
売上高総利益率
売上高営業利益率
売上高当期純利益率 - 自己資本比率:会社のすべての資産(総資産)に含まれる返済の必要のない資産の割合(自己資本)
借金の多い会社は景気の波にのまれやすい弱点がある。
40%以上が望ましい。50%以上が優良。20%以下は少々危険。 - 流動比率 = 流動資産 / 流動負債 x 100
200%以上あれば安心。150%以上でまずまず。 - 固定比率 = 固定資産 / 自己資本 x 100
- 固定長期適合率 = 固定資産 / (自己資本+固定負債) x 100
100%を超えたら要注意。 - インスタントカバレッジレイシオ:会社が借金の利息の何倍の営業利益を得ているか?
5倍・10倍と高ければよい。 - D/Eレシオ:負債資本倍率 = 自己資本 / 有利子負債(短期・長期借入金、社債)
- PER = Price Earning Ratio = 株価 / 1株当たりの当期純利益
株価収益率。成長が見込まれる企業で、20倍を切れば割安。 - PBR = Price Book-value Ratio = 株価 / 1株当たりの純資産
株価純資産倍率。株価が1株当たりの純資産の何倍になっているか? - 配当利回り
第5章 つぶれない会社の決算書
- 自己資本比率が20%切るとダメ
- D/Eレシオ
- 営業CF
- 利益余剰金がマイナス(累積損失)
- 純資産がマイナス(債務超過)
- 赤字(純利益がマイナス)
- 自己資本は返さなくてよいお金。自己資本比率が50%以上なら合格。80%以上なら優良。
- 有利子負債 = 短期・長期借入金と社債
- 有利子負債と現金同等物の差が大きいと注意。
第6章 本物の成長株の見極め方
- 売上高や利益が毎年増えているか?
- 当期以降も増え続ける見込みはあるか?
- 売上高や総資産がさほど大きくないか?
- 株価はまだ大きく上がる前か?
- 成長株を探す際、景気の波に影響されやすい業界は避ける
- 景気敏感株:鉄鋼・化学・機械・商社・非鉄・海運など
- ROE:自己資本当期純利益が大きいと、年々自己資本は積み上がり、純利益も膨らんでいく。
- PER100倍の場合、期待年間成長率も例えば・・・50%と高い。
PER20倍なら期待年間成長率は15%と高い。
結果、年間成長率が10%と下方修正されたら、PERも例えば15倍まで下がる可能性ある。
第7章 割安株の賢い選び方
- プロ投資家は会社発表前のリサーチで予想より良いか悪いか判断して売買する。
- 会社が修正発表前に株価に影響する。業績が織り込まれている。
- ただし当期純利益が予想のままだからPER株価収益率は下がって、割安株と勘違いする。
- 表面のPERが低くても、これから業績の悪化をプロがいち早く見抜き、売却に動いたら結果は黄色信号。
- 株価が下がっているということは、プロ投資家が業績を下方修正と長期にわたって読んでいるかもしれない。
- 低PBR銘柄は低ROEの可能性あり。
ROEが低いと株価は上がらない。
低PERで高ROE銘柄を探した方が株価の伸びが期待できる。