著者は光岡知足(みつおか ともたり)。2015年10月10日初版第1刷発行。

心に響いた言葉

序章 腸の力

  • 赤ちゃんの腸にしかいないと思われていたビフィズス菌が、大人の腸にも存在することがわかった。
    人の腸の中で優勢になるのはビフィズス菌のみ。
    他の乳酸菌(乳酸桿菌にゅうさんかんきん、腸球菌ちょうきゅうきん)は数少なく影響力はない。
  • ビフィズス菌は乳酸菌の一種。乳酸菌は糖を分解して乳酸を出し、腸内を酸性の環境に変える。
    腸内が酸性になると悪玉菌の増殖が抑えられる。腸内の健康状態が保たれる。
  • 小腸には体内で働いている白血球の60%が集まっている。免疫の中心は腸にある。
  • 腸内細菌が大腸に多く棲みついているのは、未消化の栄養素をエサにしているため。
  • 大腸でタンパク質の食べかすが分解されると有害物質ができて、便秘や下痢、血液で運ばれて肌荒れなどを起こす。
  • 腸内環境を善玉菌が優位な状態にしないと、細胞の老化が進み、がんやアレルギーの引き金になる。
  • 糖は取り方を間違えると血糖値を上げるリスクがある。タンパク質は筋肉やホルモンを生成し、活力をもたらす。
  • 腸内細菌のバランスが大切。
  • 腸内フローラ。腸内細菌叢。ちょうないさいきんそう。お花畑=フローラ。善玉菌が2割いれば、腸内フローラは腐敗から発酵に切り替わる。
  • 悪玉菌の増殖を促す肉類を取りすぎない。善玉菌と相性の良い野菜・果物・発酵食品をとると便の状態が変わる。
  • 食べ物を分解する菌たちの営みを発酵と腐敗に分けてとらえるのは、宿主である人の都合でしかない。善玉菌と悪玉菌に分けるのも人の都合。

第1章 腸内細菌を育てる

  • ビフィズス菌が優勢になるのは人だけで、多くの動物は乳酸桿菌が優勢になる。
  • ビフィズス菌は乳酸のほかに酢酸も生成する。酢酸は強い殺菌力があり悪玉菌の増殖を抑える。食物酢を飲んでも大腸に届くまでに吸収されるのでダメ。
  • ヒトはビフィズス菌動物、他の多くの動物がラクトバチルス(乳酸桿菌)動物。
  • ビフィズス菌が多いと煽動運動が促され、便通が良くなる。
  • ビフィズス菌はビタミンB、ビタミンK、葉酸などを合成する働きがある。
    食物繊維がないと、ビフィズス菌は繁殖せず、ビタミンBが合成されない。
  • 加齢とともに悪玉菌の割合が増加していく。腸のケアに努める習慣がないと、腸内腐敗が慢性化して、老化の引き金になる。
  • ビフィズス菌の割合を一定に保ち、大多数の日和見菌を悪玉菌化させなければ、腸内環境は良好に保たれる。
  • 抗生物質を取ると、腸内フローラが変化し、腸内のビフィズス菌が一気に減少する。
  • 腸内細菌を育て、健康を増進させることが重要。抗生物質の濫用は腸内フローラの環境を壊す。

第2章 腸内フローラを整える

  • 健康長寿のカギは、腸を元気にする食事をすること。
  • 年を取るとビフィズス菌が減っていく。中年期以降、腸内腐敗が進み、体はどんどん老化していく。
  • 老いても若々しさと元気を保つためには、食物繊維のような、腸という土壌を耕す成分が必要。

第3章 腸管免疫を高める

  • 体を病気から守る免疫は、食べ物とともに病原菌とともにさまざまな異物が入り込んでくる小腸が最前線
    腸管免疫と呼ばれる。
  • 小腸は白血球(マクロファージ、リンパ球、好中球、樹状細胞など)の連係プレーで抗体を生み出し、異物を排除する。
  • 最初に反応するのはマクロファージと好中球。獲物を見つけたハンター。細菌を捕らえて消化・分解する。貪食細胞(どんしょく)と呼ばれる。
  • マクロファージや樹状細胞がとり逃した菌についての情報をリンパ球の1つのT細胞に伝える。
  • T細胞のヘルパーT細胞がリンパ球の一種のB細胞に抗体を作るように指示を出す。B細胞は抗体を作るだけでなく情報を記憶する。
  • キラーT細胞はナチュラルキラー細胞やナチュラルキラーT細胞と連携して感染した細胞やがん細胞を次々と殺傷する。
  • 時に白血球の働きが過剰反応を起こし、アレルギーが引き起こされる。免疫を正常に機能させるためには乳酸菌が重要になる。
  • インフルエンザウイルスが体内に入るとヘルパーT細胞からB細胞へ指示が行き抗体が作られ、情報が記憶されるが、わずかでも変異していると対応できず、また新しい抗体を作らないといけない。抗体を作るのに5~7日ほと時間がかかる。獲得免疫ばかりに頼るとウイルスは楽に体内に侵入する。
  • TLR=トールライクレセプター。例えば、カビの感染を防御する。
  • ヨーグルトに含まれる乳酸菌に、腸内の腐敗菌の増殖を抑える効果がある。
  • 生きた菌よりもエサを摂取した方が、腸内フローラの改善はスムーズに進む。
  • 腸内に乳酸菌が多いとTLRのセンサーが作動し、自然免疫が活性化されることで、アレルギーが起こりにくい状態になる。
  • アレルギーを改善させたい人は、サプリメントなどで乳酸菌を大量に摂取することがおすすめ。
  • アレルギーを生み出すIgE抗体にかかわっているのはヘルパーT細胞のTh2。Th2の過剰反応に対応するためには、乳酸菌で腸管免疫を刺激してTh1の働きを優位にする。アレルギーが改善する。
  • 腸内フローラがビフィズス菌優勢の状態に保たれれば、免疫の誤作動は起こりにくく、アレルギーは起こりにくい。
  • アレルギーの増加は腸内環境の悪化。

第4章 腸が元気になる食事

  • 毎朝、ヨーグルトを250~350g、果物やサプリメントと共に摂る。
  • ヨーグルトは無糖・低脂肪に下記のものを加えて食べている。
    抗酸化作用の高いブルーベリー
    良質なタンパク源のきな粉
    抗酸化作用に優れたビタミンCのサプリメント
    天然の食物繊維であるサイリウムのサプリメント
  • サイリウムはオオバコ科の植物の種皮を精製したもので、粉末状のサプリメント。
    摂取すると、腸内で水分を吸収して膨れ上がり、たまった便が排出しやすくなり、便秘予防や改善になる。
  • 無糖・低脂肪ヨーグルトは、砂糖が含まれれば血糖値が上がり、糖尿病のリスクが高まる。
    脂質の摂りすぎは肥満や高脂血症(脂質異常症)になって逆効果。
  • 免疫を刺激するためには、菌の種類よりも、数の方が重要。
  • 重要なのは乳酸菌と腸の相性。腸管免疫を活性化させるためには自分のお腹にあった乳酸菌を見つける。
    ⇒ 体調の変化が感じられないときはお通じの状態などをチェックする。
  • 市販のヨーグルトは1mlあたり、1000万個以上の乳酸菌を含めることが法令で決まっている。
    100gや150g程度をとっても腸管免疫は刺激されない。
    メチニコフは1日に300gから500g摂ることがおすすめ。筆者は250~350g摂っている。
  • 体質を改善したい場合は、乳酸菌の菌体成分や分泌物が濃縮された乳酸菌サプリメント(乳酸菌生産物質、乳酸菌生成エキス)がおすすめ
  • ビオフェルミンは生きた菌を含有させた乳酸菌生剤。菌はあまり多くないが手ごろな値段。
    ※ビオフェルミンSの1日分(3錠)には約3億個の乳酸菌が含まれている。
  • 塩分の摂りすぎを気にするなら、インスタント食品、スナック菓子、ファストフードを取る頻度の方が問題。
  • 筆者は朝食はヨーグルト、昼食や夕食は和食をベースに、肉類は週1~2回程度に抑えている。
  • 肉類に含まれる動物性たんぱく質は悪玉菌のエサになり、腸内腐敗を促す。肉類は不健康食。牛肉のような血の多い肉類はミオシンというたんぱく質が多く含まれ、悪玉菌のエサになる。
  • 肉類を食べるのなら、ミオシンの少ない豚肉や鶏肉がおすすめ。
  • 魚に含まれるたんぱく質はあまり腐敗はおこさない。腸内フローラ改善のために魚を食べるのが良い。
  • お菓子やケーキは食物繊維がない。腸からすぐに吸収される。ビフィズス菌のエサにはならない。高血糖になる。
  • ストレスも腸内フローラに影響を与える。大事なのはバランス。
  • オリゴ糖はビフィズス菌のエサになり、腸内フローラを改善させる働きがある。
  • ショ糖、乳糖、麦芽糖は2糖類のため、腸ですぐ単糖類に分解されて、吸収される。
    オリゴ糖は3~10個の多糖類なのでほとんど吸収されない。90%以上は吸収されずにビフィズス菌のエサになる。
  • オリゴ糖はリンゴ、バナナ、ブドウなどの果物、玉ねぎ、キャベツ、ゴボウ、アスパラガスなどの野菜類にも含まれる。
  • ①腸内フローラ改善の第一歩はヨーグルト250~350gと季節の果物を共に摂る
    ②食べ過ぎに注意しながら、1日3食をリズミカルに摂る。
    ③夕食はご飯とみそ汁の和食中心。食物繊維を多く含んだ根菜、海藻、発酵食品を取り入れる
    ④肉類は週1~2回程度、魚を多くとる。
    ⑤砂糖の代わりにオリゴ糖を取る
    ⑥体調不良を根本的に改善したい場合は乳酸菌サプリメントを取る。

第5章 便でわかる病気の徴候

  • 抗生物質を使用すると善玉菌が死滅し、腸内フローラのバランスが崩れ、日和見菌だけが生き残り、異常増殖する。
  • 便は健康のバロメータ。健康な人ほど便の量は多い。便の量が多い=腸内フローラが安定=健康レベルが高い。
  • 便秘改善
    ①野菜・果物・海藻を中心に、食物繊維の多い食べ物を多く取り入れる
    ②朝一番に水を飲み、胃と結腸反射を促す
    ③起床後、軽い運動や散歩などで体を動かす
    ④便意があったら我慢せず、すぐトイレ
    ⑤気分転換をはかり、ストレスを緩和する習慣をつける

終章 人体の不思議

  • 善いものと悪いものの絶妙なバランスの中で声明は保たれている。
  • 善玉菌を全体の2割程度にするだけで腸内フローラのバランスは整う。
  • 悪い環境に置かれた人がすべて悪玉菌化するとは限らない。ヒトは意識して善玉菌になることができる。自由な存在。
  • 自分にとって何が大事か?自問し、自らの道を切り開いていく。
  • 何をすべきか?どう生きていくか?を常に問い、必要な努力をしていく。
    親に不平を言わなくなり、徐々に学業に打ち込めるようになった。
  • 生まれながらに与えられた運命として素直に受け入れ、生きていくしかない。不平等・不公平を感じても、それに耐えて、自分の個性を活かし、他人の個性を尊重し、将来の夢に向かって真っすぐに生きていく。それこそが人生であり、大事な生き方。
  • 体の声に耳を澄ませ、何を食べれば、、自分が元気になれるかを判断することが重要。